治療について

精索静脈瘤の治療

成人男性のおよそ1割は精索静脈瘤になっています。その全員が不妊というわけではありませんが、この病気を治療したことで精子の状態が改善されるというデータが出ているのも事実です。

精索静脈瘤の治療を受けることで…
約7割は、精子の状態が改善
約3割は、妊娠

治療は、基本的には手術が必要になります。当クリニックでは全身麻酔下での日帰り手術を行っており、金曜日に手術を実施すれば重労働でなければ週明けの月曜日から通常通りにお仕事をしていただくことができます。

精巣内精子採取

詳しくは、オフィシャルサイトをご覧ください。

クロミフェン療法

クロミフェンはもともとは女性の不妊治療に用いられる抗エストロゲン剤と呼ばれる薬です。
この薬は脳のホルモン中枢に作用して、精巣を刺激するホルモン(卵胞刺激ホルモン:FSH と黄体化ホルモン:LH)を増やす ことで精子や男性ホルモンを作る働きを改善します。作用機序も明確であり、欧米諸国を含めて広く受け入れられている治療法です。しかし本剤も特効薬ではないので効果には個人差がありますし、 もともとFSHの数値が高い場合には効果はあまり期待できません。

副作用としては、非常にまれに目の霞みが出現することがあるので車の運転には注意していただきます。
またクロミフェンは長期間継続すると女性ホルモンの作用が出てしまうことがあるため、4週間内服・1週間休薬のサイクルで服用します。なお本剤は男性に対しては保険診療の適応が無いため、お薬代は自己負担となります(1日1錠で約160円)。

EDの治療

不妊治療中のカップルの男性は4人か5人に1人はED

不妊治療とEDは関連が深く、奥様の排卵日に合わせるタイミング法に起因するものが多く見受けられます。決して珍しいことではなく、治療が奏功する可能性も高いので遠慮なく相談をしてください。

勃起する際は、体の中で血管を広げる物質が作られるのですが、PDE5という酵素がそれを分解していってしまいます。そこで、EDの治療ではPDE5の働きを抑えるPDE5阻害薬が使用されます。これを使用することで勃起の助けになるだけでなく、血圧を下げたり、細胞を活性酸素から守ったり、前立腺肥大症を改善したりする効果も確認されています。

ED治療薬の種類
バイアグラ
効果が出るまでの時間60分、食事の影響は受けやすい、持続時間は4時間
レビトラ
効果が出るまでの時間30分、食事の影響は受けにくい、持続時間は4~5時間
シアリス
効果が出るまでの時間20分、食事の影響は受けない、持続時間は36時間

患者さんの好みでお選びいただくことができます。
なお、これらのお薬は自発的な勃起を促すものではありません。あくまでも、性的な刺激があった時に勃起することをサポートするものです。

全身の健康状態の管理

糖尿病、高血圧、高脂血症などは、EDの原因となることがあります。そのため、当クリニックでは、保健師の資格を持つ看護師が、食事や運動といった生活習慣に対するアドバイスをしています。また、必要に応じて血圧を下げるお薬などを使用することもあります。これまでの患者さんの中には、高血圧を改善させたところEDも治ったという方がいらっしゃいました。全身の健康管理をして、精子の数や動きや質を改善させていきましょう。

慢性前立腺炎の治療

慢性前立腺炎の場合は、抗生物質や植物エキス製剤といったお薬を使って治療をしていきます。通常は数週間程度で症状は軽減していきますが、場合によっては数カ月間の治療が必要になることもあります。

低ゴナドトロピン性男子性腺機能低下症(MHH)の治療

精巣で精子を作るために、脳下垂体で作られているホルモンが足りていない場合は、そのホルモンを注射することによって補充する治療を行います。なお、低ゴナドトロピン性男子性腺機能低下症(MHH)は非常に稀な病気で、難病に指定されています。

禁煙治療

タバコを吸うことは血管にダメージを与えるため、男性不妊の間接的な原因となることがありますので、精子の状態が悪い方は、禁煙されることをお勧めしています。なお、当クリニックでは、飲み薬による禁煙治療と、パッチによる禁煙治療、どちらも取り扱っております。